のどぐろ様の宴
西麻布で「ひで」というおいしい和食店をやっている料理人・ひでさんが近ごろ釣りに凝っていて、「今度、のどぐろを釣って持っていくから一緒に食べよう」と誘いを受けて、そうすることにした。
「のどぐろは高級魚で、浜値でキロ1万2千円だゾォ」と、自慢するので、私も食いしん坊の料理好きを数人集めて待ち構えることにした。

のどぐろ様
9月6日早朝に沼津港を出てのどぐろを釣り、活きじめにして翌7日、我が家でさばいて食べることになった。
釣り人はひでと仲間のカズさん。(IT関係のヒト)
6日夜、ひでさんから電話が入った。「のどぐろ、一匹(尾)しか釣れなかったよ」「天気悪かったの?」「いや、よすぎたんだ。よすぎて魚がちっとも反応してくれないんだ」。どーゆーこっちゃ。よくわからないけれど、待ちわびるのどぐろ様は中ぶりのが一尾らしい。
どうするの?メンバーも集めちゃったというと、なんか買っていくよ、ゴメン、とひで。
7日夕刻、皆よりも二時間ほど早くひでが来た。見るからに旨そうなのどぐろが一尾。根魚と呼ぶらしい雑魚が十匹あまり。それと買ってきた立派な鰹を抱えて。

ひでとカツオと私
準備が始まる。なにしろひでは料理人だから、それらのかなり大量の魚をパッパとさばいていく。
のどぐろは三枚におろして、半身はさしみ、半身は握ることにした。アラは潮汁。根魚(小さな白ムツ、かさご、等々)はアタマと腹わたをとり、かるく塩をしておく。
そして立派なかつおをさばく。半身はたたきに。半身は握る。腹身の部分は塩焼きに。

根魚たち
私たちの方は野菜料理をうけもっている。すでに作ってあるオクラの昆布じめ。泉州から抜群においしい「水なす漬け」も取り寄せてある。
3,4個は手で割いて辛子醤油で。1個はうすめのかまぼこ型に切り握ることに。
最後にブロッコリーのやわらか煮と、信州から取り寄せたウズラをグリルする。
客人のひとり「gigio Bakery」の女主人からパンの差し入れがあるので、それに合わせるのだ。
準備が整ったころ、客人が集まりだし、全部で8人。まずは、茹でたてのだだちゃ豆とベロ藍の大皿に盛ったかつおのたたき、オクラの昆布じめ。
料理が出てくるテンポも素早くて凄いが食べるスピードも凄い。ワインは一人一本持ち寄りで、さらにうちが数本出すことになるのだが、この消費テンポも凄い。

のどぐろとカツオの握り
寿司を握るのはひでとうちの相棒。のどぐろ様の握りは半身分しかないので早いもん勝ちなのだが、そこは大人たち。ゆずり合う。
こんな活きのいいのどぐろはみんな初体験だ。
そっと口にふくむと、鯛にもおとらぬ香りと味ながら、それ以上に身質はしっとりとしてつややかだ。
旨い!旨い!
でも、ひとり二貫しかゆるされないのがつらい。切ない。
ひでは遠慮して、のどぐろに手を出さなかったのはえらい。
このあとに仕事や用事がある人もいるので、宴の時間は約二時間。濃密にしておいしい二時間はまたたくまに過ぎ、料理はほぼ完売。
そのあとは残る人が残り、新しいワインがあき、私がまただらだらと料理を作らされることに。
初めて会った同士が多いというのに、帰るころにはみんなすっかり仲よくなっていた。そういう風情をみているのが、私はとても好きなのかもしれない。
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