私が好きな “ お甘 ” のこと。
女子供はお甘(菓子)が好き、というのが常識らしいが、私は普段めったにお甘をいただかない。
洋菓子については、高校生のころ生意気にも洋菓子作りを習っていたので、そんじょそこらの洋菓子ではうれしくない。だって自分で作るととてもおいしかった(もはや過去形です)んだもの。
アップルパイ、バナナケーキ、モンブラン、しっとりしたクッキーやビスケット。
どれも本当においしかったなぁ。
和菓子については、季節感をたのしめるので、ときどき仏壇に供えます。
そんなお甘好きではない私だけど、2つだけ大好きなお甘がある。どちらも「羊かん」。といってもありきたりな羊かんではありません。
ひとつは夏の水羊かん。それも両国にある「越後屋若狭」の水羊かん。
夏の間しか作っていなくて、予約しなければ買えないのだけれど、ここのはひとつが10センチ四方くらいの大きさで、たぶんそれ以上小さくすると清らかな水があふれてしまいそうだから。それくらい本当にきれいな味わいの「水羊かん」なのだ。
私がこれまで体験してきた洋・和菓子のナンバーワンはこの水羊かんです。
もうひとつは秋の「新栗むし羊かん」。
これは私が生まれ育った小田急線・祖師ヶ谷大蔵の駅そばにある和菓子店「香風」のもの。ほどよく甘く、しっとりほっくりしていて、栗の入り方もほどよくて。
子供のころから秋になると、必ずこの新栗むし羊かんをいただいた。
十年ほど前、祖師ヶ谷大蔵に住んでいる友だちに買ってきてもらった。残念ながらかつての味わいではなくなっていた。職人さんがかわったのだろう。仕方のないことだけれど、なんだか淋しかった。
今でも秋になるといろんな新栗むし羊かんをためしてみるのだけれど、かつての「香風」のような、ひっそりとしたお甘のよろこびを感じさせてくれるものはない。
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