中秋の名月、十五夜には月見御膳を
昨夜は十五夜。お月様はまん丸なのに、残念ながら嵐でした。でも、月見御膳はちゃんと作りました。

<十五夜の月見御膳>
春菊と焼きしいたけのお浸し 柚子風味
豚ヒレのくわ焼き あられ生姜と
シンプルな茶わん蒸し
栗ご飯
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十五夜には毎年、この献立を作ります。
この献立を決めたのは、私が11才のころ。
そのころから献立作りが大好きな少女でした。
どうして月見団子も里芋もないこんな献立になったのかといえば、私の家は子供は私ひとりであとは大人が三人。
その大人も少しヘンな人で、伯父は極度の歯弱なうえに大の酒好き。
伯母はその年の春、四年間入院していた神経科の病院を退院してきたばかり。食べものの好き嫌いにうるさくはないのだけれど、興味がわかないと食べてくれない。
おとなしい母にはそんなワガママな注文に応じて献立をあれこれ考える時間もないし気力もない。
で、少女の私が我が家の献立作り係になったわけです。
伯父たちの好みや歯弱も考え、もちろん自分の好みも入れながら考えました。
茶わん蒸しはやわらかいし、皆大好き。それもゴチャゴチャ具を入れず、トリとギンナンとしいたけだけ。あれば三つ葉を少しと柚子皮。海老やかまぼこは入れません。
お浸しは色どりと、柚子の香りを楽しむため。
栗ご飯は伯母と母の好物。伯父と私はそれほどでもないので栗をよけたごはんだけいただきました。
豚ヒレのくわ焼きは最初のころ、肉団子でした。うす味の甘酢ダレをかけて。それがいつの頃からか豚ヒレになっていきました。

伯母が死に伯父が死に、母も私が三十代の半ばになった頃に死んで、ふるさと東京でひとりぼっちになってしまった私は、しばらく月見御膳を作らなくなりました。
でもやっぱり、再開しました。代々の江戸っ子の血が、行事をおろそかにすることに居心地のわるさを感じたのかもしれません。
季節ごとの行事は、季節に寄りそい季節を大切にすること。
そうやって日々をすごしていると、なんだか背筋がシャンとします。
私はさらに小さな日々の行事として、毎朝、祖母・伯母・母と愛しのペットたちの遺影を置いたささやかな仏壇においしいお茶と水、近所で摘んできた草花や和菓子なんかをお供えしています。
今夜は十五夜の次の夜。
まん丸お月様は少しだけ欠け始めているけれど、ゆうべの分も一緒に月見をしましょう。
<豚ヒレのくわ焼き>
◯材料
豚ヒレ肉 200g(ブロック)
新生姜 大きめのひとかけ
◯作り方
1)新生姜は5ミリ角位に切り、さっと熱湯に通し、水気を切ったらつけ汁(酢大さじ2,水大さじ1,砂糖大さじ1、うすくち醤油ほんの少々)に浸し、2〜3時間(もっと長くてもいいし、短くてもいい)これがあられ生姜。
2)豚ヒレは6〜8ミリ厚位に切り、軽くたたいて片栗粉を両面にしっかりとつける。
3)フライパンに油大さじ2を入れ、肉を両面焼く。かるくこんがりとした色になったらザルにひろげ、熱湯を肉にまわしかけ、油気をぬく。
4)同じフライパンに酒大さじ2,醤油大さじ2、砂糖小さじ2をいれ軽く煮え立たせたら火をゆるめ、肉をもどしよくからめる。
5)皿にタレごと肉をよそい、その上に汁気をきったあられ生姜を散らす。

豚ヒレのくわ焼き
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