春いちばん、蕗の薹(フキノトウ)。

江戸っ子はほろ苦くて、えぐ味があって、土の匂いのする山菜が大好き。
その末裔である私も大好物です。
何故なら、我思うに、約400年前に江戸の町が作られ、そこに呼ばれて住み着くようになった江戸っ子たちは「自分の土地」を持つなんて考えたこともない民でした。どんなものであれ「持つ(所有する)」ことが似合わない連中でしたから。
でも、そんな民にだって幼いころに育った土地の記憶はあったはず。
その地面から切り離されて100万都市江戸に来たわけで、それでも彼らの中に残っていた「あらかじめ失われた土地の記憶」が苦くて土の匂いのする食材に、本能的な郷愁をおぼえたのではないでしょうか。
私の伯母の末期の一食も「どぜう汁」だったし。


そんな春の山菜で、まず最初に食すのはフキノトウ。
土を払い、アクなんか気にせずに手早くみじん切り。
油で炒め、酒・醤油で味付けるだけの一品。
ごはんにも酒の肴にも合うし、これを酢飯に混ぜこんだおいなりさんもおいしーい。


もう一品は味噌汁。
昆布か煮干しで出汁をとり、ざっくりした風味の味噌をとく。
その間に2人分なら3個ほどのフキノトウを手早くみじん切りにして、味噌汁の煮えばなにパッと入れ蓋をしてすぐに火を消す。5〜6秒まってできあがり。
この食し方がフキノトウの香りも味も食感もすべて感受できる一品だと、フキノトウフェチの私は思います。

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